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私の好きなミュージアム

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 大井健地(国際学部・芸術学研究科教授 美術史)


 スイスの保養地サン・モリッツにあるセガンティーニ美術館を訪れたのはもう10年も以前のことか。さる西洋美術史家の文でその存在を知った。へんぴな場所の小美術館ゆえにかえって行く気をそそらせられた。がんばって行った(ユースホステルを宿にした。用意した水着で付近の温泉場に入った)ことが誇らしい経験として僕をあたたかくする。
 フランス・バイユー美術館でノルマン・コンクエストを70メートル余の麻布に記録表現したロマネスクの逸品戦記絵巻をじっくり見た経験も得がたい。向かいのバイユー大聖堂に縁日のとき張りめぐらしたというのだが、その大聖堂内陣が全体灰白色に沈んで巨大な廃船が化石化した、と言いたいような印象としての記憶そつづけているのもうれしい。
 パリ市内では、ルーブル、オルセー、ボンピドーの三施設はいわば常道。圧倒的な物量に呑まれず、身体の疲労にめげず、いかに清新はつらつたる自分でいられるのかの対処法にこそ、好ましい自己更新センスの発動がある。中世美術館(旧クリュニー美)やギュメ美術館のには特化したテーマ館の落ちつきがある。前者で中世ヨーロッパ宗教芸術に、後者でアジアのそれに僕らはまっすぐ安心して浸り、向かいあえ、自分を活性化できるのである。
 ステンドグラスの芸術がなぜどのように素晴らしいのかはシテ島のサント・シャペルへ行けばわかる。一目瞭然の教会ミュージアムなのだ。
 迫力ある展示の好例は、オステルリッツ駅際の国立自然史博物館・進化大陳列館(Grande Galerie de l’Évolution.“進化の大ギャラリー”とも)。象を先頭に剥製動物標本がひしめきあって大行進するさまに身を沿わせて歩みたい。
 さらにフランス文化財博物館(Musée des Monuments Français)も挙げておきたい。全部レプリカとそしる人もいるが、行くことの困難な地の遺品、遺構を体系的に一望できる。効果抜群、感動的教育?学習?創造!のミュージアムである。
 いま本館ニュースレター創刊号に原稿を求められて、過半の齢の僕はわが人生ベストのミュージアムを記述しようとした。当館がいつの日か訪れた人のベストに挙げられるほどのことを期待する。なにしろ僕は大学附属資料館ではなく、ミュージアムに附属する大学像を夢想したりもするのだから。