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法人化に際して芸術資料館の役割に関する議論を

法人化に際して芸術資料館の役割に関する議論を


 加治屋健司(芸術学部准教授 美術史)


 芸術資料館は、本学が開設した1994年に、芸術参考品の収集、保管及び展示を行い、以て芸術の教育・研究の進展に資することを目的として設置された。毎年計画的に芸術参考品の収集を行うとともに、収蔵作品展、教員作品展、博士発表展、市民講座の展覧会等の展示を行っている。

 社会に開かれた大学づくりと地域社会への貢献に取り組む本学において、芸術資料館に寄せられる期待は大きい。1996年に学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会がまとめた報告「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について―学術標本の収集、保存・活用体制の在り方について―」は、「社会に開かれた大学の窓口」としての大学博物館の役割の重要性を次のように指摘している。「大学における研究成果については、地域社会に積極的に発信することが求められており、ミュージアムにおいては展示や講演会等を通じ、大学における学術研究の中から生まれた、多くの創造的、革新的な新知見等を地域住民に積極的に公開し、周知することが望ましい」。市民講座「展覧会をつくる」等で地域住民と協働した活動を行っている本学の芸術資料館においては、大学ならではの研究成果を地域社会に向けて積極的に発信することが一層求められている。

 今後、本学において芸術資料館はどのような役割を担うべきだろうか。来るべき法人化は、設置当初の趣旨を再検討してあるべき姿について議論する良い機会となるだろう。現在、芸術資料館は、芸術学部以外の学部の使用は想定されていないが、大学全体の附属施設である以上、三学部の研究成果の発信に使用する場とする可能性を検討してもよいだろう。また、資料館という位置づけの適切性についても検討の余地がある。資料館とは、通常、文化財保護法に準拠して設置、運用される文化財保護施設を指す。それに対して博物館は、社会教育(生涯学習)施設としての役割に重点を置いている。地域社会に研究成果を発信するという大学施設に相応しいあり方を実現するためには、本学における芸術資料館の役割について、名称変更も含めて、全学的に議論する必要があるだろう。